社員インタビュー山下知里さん

AR技術で、
ひとりでも多くの命を守りたい。
研究開発 山下 知里
「人の命を守る仕事をしよう」。そう決めた。将来、どのような仕事をしたら人の役に立てるのか。いろいろ考えた結果だった。彼女は中学2年生だった。

それは、思春期ならではの熱病だったのかもしれない。しかしやがて、心の片隅にいつもある夢になった。医者をめざさなかったのは、医者では目の前の命しか守れないから。迷ったあげく、彼女は就職先にメーカーを選んだ。命を守る機器をつくるところなら、より多くの人を守れるはず。自分が生まれ育った大阪から、そんな風に世界を変えていけたらおもしろい。最終的にパナソニックへの入社を決めたのは、そんなことも理由だった。
今、彼女が取り組んでいるのは、AR※ヘッドアップディスプレイに関する要素技術の開発。ARヘッドアップディスプレイは、クルマを運転するドライバーの前方の風景に道案内等をAR表示するもので、彼女は、道案内の表示等を正しい位置に重畳する手法のアルゴリズム開発を担当している。「ARヘッドアップディスプレイは、従来のカーナビと違い、前を向いたままで道案内を確認できるので、より快適に、より安全にご利用いただけるナビです。まだ世に出ていませんが、これからの常識になるかもしれない製品だと思います。こうした、まだ誰も知らない最先端の製品づくりに携われることが、この仕事の魅力だと思います」。

彼女には、もうひとつ担当しているものがある。ドライバーモニタリングシステムの要素技術開発だ。「これは車内に設置したカメラで、常にドライバーの状態をセンシングし、目線やまぶた、顔の向きなどから、よそ見や眠気などを検出する技術です。私は、実車搭載のための組み込みソフトウェアの開発を担当しています。まだ、取り組み始めたばかりですが、まさに人の命を守る技術。すごくやりがいを感じています」。

最近、彼女が、よく考えることがある。今後のさまざまなライフステージにおいて、自分はどんな風に働いていきたいのだろうと。「母も祖母も働いていたので、私にはそれが普通のことでした。中学生や高校生の時も、友だちが『将来は結婚して、家庭に入りたい』って言っていたのが、どうもピンとこなくて。自分の子どもには、母や祖母と同じように働いている私を見せたいので、将来結婚し、出産した後も、今の仕事を続けたいと思っています。ここには、そういう先輩がたくさんいらっしゃって、みなさんバリバリ働いていますから。私も、その時が来たらぜひ制度を利用したいと思っています」。
※ AR(Augmented Reality) 拡張現実。
プロフィール
山下 知里(やました ちさと)
研究開発
パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社
2014年入社 理工学研究科卒
社会における数学の応用先について興味があり、大学では製品設計に応用されている数値解析学や、高速道路作成に応用されている離散数学などを学んでいた。研究室に入ってからは、数値計算(近似計算)で発生する誤差についての研究に取り組み、学会に出たことも。特技は、3歳から習ってきたクラシックバレエ。
*記事の内容は取材当時のものです。